府立高校のシンボル、ユーカリ・グロブルスの外科治療
樹種名 ユーカリ・グロブルス
作業種別: 樹木外科治療
100年前に植樹された高等学校のシンボルツリーです。
樹勢自体は旺盛でした。しかしながら、幹および根株の心材腐朽が著しく進行して傷口が痛々しく露出しており、また倒木の危険性もありました。腐朽の原因は過去に太枝の折損にともなって幹の樹皮が大きく剥がれたためと推測されます。 治療は完全腐朽部のみ最小限に削り取り、殺菌剤塗布および炭材の充填をおこないました。
また、開口部の閉塞はシート式のFRP材を使用しています。(メーカーのご協力により初めて樹木治療に使用されました。やわらかいシートが紫外線によって徐々に硬化する資材で作業性が良いものです。)樹皮の巻き込みを想定して慎重かつ丁寧な施工を行い、表面は樹皮に見立てて塗料にて丁寧に彩色しています。
なお、幹の腐朽による樹体支持力の劣化と、逆に旺盛に繁茂した樹冠の枝葉とのバランスが悪く、さらなる枝折れや幹折れが危惧されましたので、既存の支柱を補強するとともに、樹冠を縮めて軽くする剪定を行いました。
さらにはステンレス製の「ブレーシング」を取り付けて補強をしています。(「ブレーシング」とは大枝と大枝をワイヤー等で互いに結束することにより、引っ張り合って枝折れを防ぐものです。)
シンボルツリーのユーカリ・グロブルス。
※大きく開口した腐朽部が痛々しいが樹勢は旺盛である。
※大きく開口した腐朽部が痛々しいが樹勢は旺盛である。
腐朽部の切削、殺菌、炭材の充填
FRPシートによる閉塞と擬木着彩。
樹木治療を伝える新聞報道。
(樹木医、樹木診断・治療、大阪)